ゼミ(seminar)>> 週1回(月曜午後)、2~3時間程度。次の2つがメイン。
文献批評 >> 課題文献について、担当者がレジュメを用意し、それを基に皆で検討を進めていきます。レジュメには、対象となった論文の主張や批評担当者の解釈・見解、それに関連文献情報などが書き込まれます。これまでの課題文献(の一部)については こちら。
研究報告 >> 文字通り、自分が手掛けている研究内容の報告です。なお、研究室メンバーの研究テーマはこのサイトのもう少し先で紹介されています。
ある採石事業(法的な認可取得済み)によって地下水脈が傷つく可能性があるが、確たる証拠は示せない。そのようなケースで、地下水脈由来の生態系サービス(生活用水など)を守るために、当該事業を禁ずるような条例は制定できるのか。最高裁の判断(最三判令和4年1月25日)はいかに?(『民事判例(日本評論社)』25号118-121頁)
コウノトリやトキのような生き物(=象徴種)でなければ、地域での環境保全活動を促進できないのか?(関根佐和子・R6大学院修士論文)
地域の生物を環境保全活動のシンボルとして利用することで、生物多様性保全とその利用に対する人々の関心や理解を高めることができるという。
これまで、そのような形で利用されてきたのは、コウノトリやトキなどのような、社会的関心の高い種(=象徴種)であった。では、○○県の花や○○市の鳥など、地方自治体のシンボルとして指定される生物(=シンボル種)ではどうだろう。シンボル種は、象徴種のように、地域の生態系保全とその活動への人々の関心や参加を集めることができないのだろうか? いや、できるのでは?
本研究では首都圏の地方自治体を調査対象に、シンボル種の中でも「鳥」のカテゴリーに注目して、その選定状況や選定の経緯、活用状況を調べた。自治体の中でシンボル種はどのような存在として認識され、どのように利用されているのだろう。果たして、地域の生物多様性保全に貢献できるような機能を持っているといえるのか?
レッドデータブックは単なる生き物リスト。しかし、それは時として規制の道具にもなる?(伊藤航輝・R5大学院修士論文)
レッドデータブック(RDB)は絶滅のおそれのある生き物たちのリストである。
単なるリストなので、それには開発事業を規制するような力は伴わない。というのが教科書的な説明であった。
しかし、全国の都道府県を対象にしたアンケートおよびヒアリング調査を行ってみたところ、RDBは開発事業を抑制するための“指導”にも用いられている実態が浮かび上がってきた。
RDBは単なるリストというわけではなく、事実上の規制ツールでもあるのだろうか? 似たような“事実上の規制ツール”は他にもいろいろありそうである。
水族館がこれからも存続するにはどうすればよいか?(岡田優里・R6卒業論文)
水族館。もしかすると、「必要ない」と考える人もいるのではないだろうか。実際、水族館は経営にかかる費用が巨大であり、皆が必要ないと判断すれば、その存続は危うい。そういった状況で水族館がこれからも存続するにはどうしたらよいか?
その答えはきっと「社会に貢献する存在であることをアピールすること」に違いない。では、その「貢献」とは何だろう。地域社会教育機能を発揮することだ、とも言われてきたが、それだけだと今一つよく分からない。そこで、本研究では、新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)が行っている、社会「貢献」的な取組みが、地域社会によって、どのように受け止められているのかを調査した。
その結果、そうした取組が地域社会に認識されていることはもちろん、地域社会がポジティブな応答をしていることが窺われた。
なお、こうした「貢献」は、生態系サービスという考え方を援用するとより分かりやすくなりそうである。すなわち、水族館は海と地域社会の間に立ち、海の恵みを地域社会へ文化的サービスとして届け続けている。そのように解してみてはどうだろう?
企業だけでなく、普通の市民が主体となる排出量取引制度とはどのようなものか?(横田悠貴・R6卒業論文)
関係人口はどうやったら作り出せる? ふるさと納税はどうだろう?(安東日向子・R6卒業論文)
関係人口とは、観光でもなく、移住でもない、「地域と多様に関わる人々」のことをいう。なぜ今、これが注目されているのか? それは、日本全体で人口が減り続けているからである。そうした状況では、定住や観光によって地方創生を図ることは難しいだろう。そこで、関係人口という、”もう一つの人口”に注目が集まるようになった。
では、関係人口をどうやって創出するか? その手立ての一つが、ふるさと納税であり、その中でも、納税してもらったお礼として、田舎暮らしや農作業などを無料で体験してもらうなどの、いわゆる「体験型返礼品」にそうした関係人口創出機能があるのではないかと言われてきた。しかし、先行研究で論じられているのはそこまでであり、具体的にどのようなタイプの体験型返礼品の創出機能が高いのかはよく分かっていない。
そこで今回は、ふるさと納税サイトである『さとふる』に掲載されている約3万件の体験型返礼品を内容ごとに分類し、今後の類型化に向けた指標づくりを試みた。その結果、横軸を『地元民との交流の有無』、縦軸を『地域性の高さ低さ』として分類すると、象限ごとにある程度の特徴がみられ、返礼品の関係人口創出可能性を検討する際の手掛かりになりそうだということが分かってきた。